――SEASON2では⼩林さんはどんなお話を担当されるのでしょうか?
- 籔田
- SEASON2では心理描写が重要で、物語や心情の解釈をする上で小林さんの力が必要だったので、より多くの絵コンテを描いてもらう形で作品には参加していただきました。SEASON1よりも小林さんの絵コンテ回がより多くなっています。演出処理に入るよりもその時間を使ってさらに時間を掛けて絵コンテを描いてもらいました。それを受け取って担当する各話の演出家は大変だと思いますが、演出家にとっても勉強になる絵コンテだと思います。そこは僕もサポートしながら制作を進めています。
- ⼩林
- 最初の幸村先生のお話も、そして籔田監督も2人とも褒めて伸ばすタイプなので励みになります。とくに先生はすべての話数のコンテに対して感想を送ってきてくださるんです。
- 籔田
- 情報公開までは我々はただひたすら黙々と作っているので、視聴者からのリアクションがない中、幸村先生と編集部の方の後押しが本当に心強かったですね。
- ⼩林
- 料理を出したら、やっぱり感想を聞きたいじゃないですか。その意味で原作者の先生ほど的確な回答をもらえる人はいません。SEASON1はある程度エンターテイメント路線で行けたので、視聴者の方にどう受け取ってもらえるか、ある程度は想像が付いたのですが、SEASON2は少し重い話が続くので、本当に心の支えになりました。農場編を描くにあたっては、籔田監督からまずスタートでエイナルという人物をしっかりと描くところから始めたいという方針で、これがなかなか難儀でしたね。
- 籔田
- SEASON2の物語において大きな転換点となったり、何がしかの決着をする話数が全部小林さんの絵コンテ回なんです。特にトルフィンが外から受ける影響を内面描写にうまく反映させて見せることがSEASON2を演出する上での大事な目標でした。彼にとってエイナルからの影響は大きいんです。エイナルと出会い距離が近づいたことでトルフィンに別の感情が生まれ、それが夢に影響を与え、その中で学びを得るという形に結びつけないと説得力のある映像描写にはなりません。原作のマンガの表現からしてそうだったのですが、夢や心象風景で架空の存在と対峙するシーンが多く、それをひとつひとつ分類して、キャラクターが本当に見た夢ならばこういった見せ方はアリだとか、これは現実の心象風景だからここまでだといった具合に、演出の仕方やトーンを変えていく必要がありました。
- ⼩林
- 前半の話数のトルフィンは抜け殻みたいになってしまっていて、あまり喋らないんですよね。ただその中でも出会う人たちがいて、そうしたときにトルフィンが何を思っているのかを描くことが難しかったですね。
- 幸村
- やる気がないようなボーッとした顔をしていますもんね。
- 籔田
- トルフィンの繊細な表情が増えたので、そこが難しかったですね。どれぐらいの意思がここに乗っているんだろうと深く考える必要がありました。あとは、暴力を振るう者に対するエイナルの怒りをどのように鎮めるかの心理描写や演出にとても心を砕きました。
- 幸村
- そこが前半の山場でしたね。